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2017

2017幹部対談


今回は、2017年度一橋大学男子ラクロス部の主将を務める深見大地、SC(strategy captain)兼DFリーダーを務める伊藤全、OFリーダーを務める藤原柾を招き、対談を行いました。


―さて、今回はシーズンを振り返りながら、これからFINAL4に向けて今想う気持ちを聞かせていただきます。

(偶然にも3人ともサーペンツキャップを被って登場。)


―早速ですが、今シーズンで最も苦しかった時期はいつですか?


伊藤「SCとしてなら、考え続けることが1番大変だし難しい。特にこの時期というよりは、シーズンを通して、疲れて作業になってしまわないかを常に自問自答しながら色々練習メニューとか目標とかを考えないといけない。練習メニューもずっと同じだと、飽きたり目標が曖昧になるから少し変えてみよう、とか。目標を変えないにしても伝え方を変えたりとか。」


深見「主将としてだったら、スタートしてすぐ。ブログにも書いたけど。色んな本読めば読むほど答えが無いし、全部違うことを書いてるし、自分っぽくないなと思ってたから。スタートしてすぐは主将としてはすごくきつかった。みんなの顔を気にしてた。チームのメンバーには何が言いたいのかわからないと言われたこともあった。

その時期は自分がどうしたいというより、立川さん[1]こうしてたな、とか本だとこうするんだ、で動いてた。自分が主将としてこうしたいというものが無い間は主将として前に立つのが怖いというか。

でも結局、OBの方に会って自分のやりたい形に気づいてからはそれをひたすら言うだけ。それからは、なかなか伝わんないなとは思ったけどだんだんキックオフミーテとか色んなミーテとかで伝えていく中で、主将として自分がやりたいことが分かってきた。」


伊藤「俺も梅雨オフぐらいまでは、全部自分でやんなきゃと思ってた。

なべかずさん[2]とか要領が良くてできる人たちの後だったからそうならなきゃと思ったけど、『上手くできないんですよね』って辻さん[3]に相談したときに『周りがそれで情けないと思って、助けてくれるチームならそれでいいやん。それがお前の形や。』って言われて、『あ、そうなのか。』と思って気持ちが楽になった。」


3人「かっこいい。」


伊藤「それまでは自分が一番考えているって自負してたから周りの意見を否定的に聞いちゃっていた節があったけど、言ってくれることに悪意を持ってる人は誰もいないんだからまずは素直に受け入れようって思った。」


深見「チームとしては、SPリーグ[4]は試してる時期だったし、上位層が出てないってのもあって負けてもそこまで焦りはなかったけど、4月の新歓試合で早稲田にも東大にも成蹊にも競り負けたときは弱いなって自覚して、やべーなって思った。その時もやることがブレてるわけではなかったんだけど。キツかった。」


伊藤「でも大地は主将としての立場を楽しんでたよね。4年になって上手くなったなと思った。」


藤原「こいつは変わったよな。」


深見「俺は結構昔から感覚派で、他人の動画とか海外の動画とかは見るけど自分の動画はあんまり見ない。基本グラウンドでも感覚でこうした方が上手くない?って会話をしているだけ。だから選手としてはわりと楽しいシーズンだった。」


―主将は自分の成長にとって負担ではなかったんですか?


深見「主将という立場に最初は自信なかったけど、みんなが信頼して任せてくれたわけだから、俺らしくやっていいって自覚してからは、あとは自分がもっとこうしたい、ってことをチームに伝えるだけだって思い直した。

主将はこうしなきゃいけない、という風には縛られないようにした。まあ元々緩いとこは嫌いだし。でもクソ真面目なチームにはなったかっていうとなってないじゃん?それはたぶん俺が主将だから。

着飾らずにやりたいようにやってればチームが自分っぽくなると思ってた。ひたすらゴールを見据えて、こうすれば勝てる、とかこうしてたら勝てない、とかを伝え続ける。それをリーグ戦が始まる8月までに間に合わせる作業。だから主将としての立場が選手としての成長を止めたかっていうとそんなことはない。」


藤原「OFは去年から結構変わって、6人で点を取る形を目指してきたけど、去年は手探り過ぎて積み重ねはあんまりなかった。今年に受け継いだのはチャレンジ精神くらい。言語化して、こう攻めようみたいな形は残ってなかったから、シーズン初めはとりあえずそれを考えなきゃいけなかった。でも考える基もないし、どうすればいいのかわからなかったのは辛かったな。ひたすらリーグ戦とか海外とか色々なビデオを見て、『シュートの形』から逆算して言語化した。それをターニングポイント毎にどんどん修正していって、結局FINAL4が決まった後も考え直したかな。

これだけ考えてもなかなか人には伝わらなくて、考えた筋道をしっかり理論立てて伝えないと全員で共有できない。そういう難しさを学べたのは良い経験だったけど。」


深見「考えるのが1番疲れるよな。」


―軌道に乗ったのはいつだと感じました?


藤原「商東戦頃からは勝ってはいたけど、それでも良い形での得点は全然なくて。勢いはすごいあったけど、形としては相手のミスで勝手に相手が崩れたり、点を取りたい形での得点が少なかった。

もちろんそういう場面での決め切る力も重要なんだけど、早慶相手に点を取るビジョンが無かったのが正直な気持ちだったな。

リーグ戦前に具体的に6人でどう攻めるかってことをもう一度共有したことで、リーグ戦ではいい形が増えてきたと思う。

だからいつから軌道に乗ったかっていうとあんまり覚えてない。常に修正を繰り返してきたから。」


伊藤「成蹊戦の4Qは大きかったと思う。

成蹊って、新歓試合では負けてたから俺たちって本当に1部の大学に勝てるの?って不安になってた時。

結局前半苦戦して、暗いムードの中の4Qで、『走り勝つ』っていうチームの方針を体現できたし、OFも良い形が作れたし、結果大差で勝てた。

それが今でも、前半苦しくても後半絶対走り勝てるから自信もっていこう、っていう心の糧になってる。入りこんなに悪くても大丈夫なんだ、って。」


深見「俺らは慢心が0、他大に知られている選手もあんまりいないし。

みんなリーグ戦からしか調子よくないんじゃない?

獨協戦[5]で苦戦したのもやっぱりリーグ戦キツイって知ることができてよかった。

そのおかげでその後の勝てると思う試合でも気持ちを切らすことなくできた。」


伊藤「日程もよかったね。最初が3週連続で、始まる前はきついなって思ったけど、やってみたら勝っても切り替えて次に向かわなきゃってなったし、日体戦[6]まで2週間空いたけど引き続き気持ち切らさずにできた。試合間隔が短かったのがよかった。」


―シーズンを通してチームがこう変わったというところは?


深見「精神面でいえば、今年のキックオフ3週間前くらいに開いた小沼さん[7]・河邑さん[8]のミーテは本当に良かった。体育会って結果が全てじゃないけど、でも結果が出せなかったら恥ずかしいというか。勝たなきゃやばいというメンタルじゃないと勝てないと思ったんだよね。去年までは勝ちたい、だったからさ。

今の4年生とかはそのミーテで、FINAL4行かないと死にたいというマインドになった。

こんなに部活に4年間かけて3位で終わりました、とか恥ずかしいよなって。

それは今までのチームとは違うところ。」


伊藤「あと、そのミーティングで言ってたのは、昔たくさんFINAL4に行ってた時代は周りが弱くて余裕で行ったのかと思いきや違って、小沼さんの代も初めてだったし、河邑さんの代も前年とかに苦戦して苦戦して、それでも諦めずにやって出た結果っていうのを聞いた。

『歴史は変えられるものだ。』って小沼さんが言ってて、そうだよなと思った。

最近は早慶日体東大が上位にいるけど、10年後はわかんないし。

今まで変えられなかった歴史はないんだから、だったら今年俺たちが変えられる、って。」


深見「発言がもう違ってて、3年の頃は勝ちたいなって言ってたのが、今は勝たなきゃになった。

それはキックオフしてすぐくらいから伝えてきたことだけど、変わったと思う。チーム全体がそういうマインドになった。

メンタルは本当に大事。当時ランメニューがきつかったのも相まって、こんな辛い思いして3位とかまじで言いたくない、って。(笑)

1個上の代の時に、このチームで勝ちたいと思ってて、そして勝てなかった辛さを知ってるから、そういう思いはしたくない、っていう考え方になった。それは先輩方のおかげ。

だからそういうお世話になった人への想いも含め、勝ちたいなっていつも思ってる。」


藤原「今年は“勝てると思うまで”やらないとやばいってわかってるからね。」


伊藤「去年の東大戦、後半暑すぎて全く走れなくなって何もできなかった時の情けなさとか、あんなに努力したのに負けたってことは、ただ努力するだけじゃダメで常に考え続けないといけないんだなっていうのはすごい思った。

やっぱりみんな、去年の東大戦が原動力になってたと思う。

去年1年めっちゃ頑張ってきたはずなのにあんなにボロボロにされて、1年全てを否定された気分になったというか、常に最善の道を模索し続けないと、やっても意味はないんだな、って。あとは3年が試合に多く出てたからこそ、そういう思いができたってのはある。」


―プレーオフに向けて今考える課題は何ですか?


伊藤「駆け引き。自分がやるべきことを愚直にやるのは一橋って得意だけど、相手がどう考えているのかを考えてやることが苦手。相手がやりたいことをどうつぶすか、そういう一種のずる賢さは必要。そこが早稲田慶應が上手いとこかな。

例えば反省の時に、こういうプレーがしたかったというのはAチーマーみんな持ててきてる。でもその時DFを見てた?って聞いたら、あーそうか、ってなる感じ。

自分で考えを持って発信できるようになったのは成長した部分だけどね。」


深見「俺が新3年の時のキックオフミーテで、『強いチームって何だと思う?』って辻さんが聞いてたんだけど、“全員がどうやったら勝てるかを考えているチーム”って今なら答えるなと思って。

例えばファルコンズが誰も目立たないのって全員が考えているからだと思うわけ。全員指摘できるんだよね、だから強い。

俺らはまだ例年よりその母数は多いと思うけど、全員は言えてない。多くて5割くらい。

だからプレーオフに向けてその母数が増えるべきだなとは常に思う。」


藤原「OFに関して言うと、考え方の共有かな。6人でどう点を取るかっていうのを1年通して考えてきたけどやっぱりまだ浸透しきってない。そのためにはどうすればいいかってところまで全員が考えて、共有までしないと形にならない。今更なんだけど、とっさの判断が噛み合って得点までつなげるためにはここが1番大事。」


深見「あとはメンタルやな。経験したことないシチュエーションで、でかい舞台で、いかにやってきたことを信じて、やれば勝てるっていうメンタルでやるか。攻め気だよね。」


藤原「絶対勝てるという思いまで持ってく。勝ちたい、じゃダメ。」


深見「試合前日にああしとけば良かったって思わないような準備をすることかな。課題は。」


伊藤「俺は大勢の人が注目してる舞台でラクロスをやりたいと思ってやってきたから、ファイナル4はすごく楽しみ。

あの舞台で俺らが1年間やってきたことを見てもらいたい。かっこいいチームだってことを示したい。」


―学内の人に向けて一言。


伊藤「一橋生にもっと応援されたい。俺たちの練習とかに1度でも見に来てもらえればこれだけ頑張ってるんだって絶対わかってもらえると思うんだよね。やっぱり学内でも国立でも愛される団体になりたい。(笑)」


深見「4年間をどこで使うかは本当に自由。留学も楽しいなと思うし、勉強でもいい。

その中で体育会を選んで真剣に取り組んできた130人がいて、本気で1年間取り組んできたことが大舞台で表現される場だから。

違う道を選んだ人も、こういうやつも一橋にいるんだって見てくれれば楽しめるんじゃないかなって思う。一橋生ができるでかいチャレンジの中のトップクラスのことだと思うから。見に来てくれ!」


(左から藤原、深見、伊藤。国立で有名なロージナ茶房さんを利用させていただきました。)

(文責:3年MG普久原)

[1] 立川さん:2016年度主将を務めた。

[2] なべかずさん:2016年度SC兼DFリーダーを務めた。16年度の関東男子1部ベスト12プレーヤーに選出される。

[3] 辻さん:今年度ヘッドコーチ。2010年度卒。09年度に学生日本一を達成。

[4] SPリーグ:冬~春に開催された6校によるリーグ。一橋も参加。

[5] 獨協戦:今年のリーグ戦第1戦。

[6] 日体戦:今年のリーグ戦第4戦。

[7] 小沼さん:04年の主将。この年史上初のFINAL4進出。

[8] 河邑さん:09年の主将。この年初代の学生王者となる。

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